みなさん世界でもっとも売れた本をご存じですか?
人類史上、最高のベストセラーは聖書といわれています。
もとより販売が目的ではなく布教のための書籍なのでベストセラーは語弊があるかもしれませんが、史上最も多く発行されたという事実は間違いないことでしょう。
なにせイエス・キリスト時代から2000年以上、世界のいたる国々で発行されているのですから。
そんな聖書には「 新約聖書 」と「 旧約聖書 」と呼ばれるものがあります。
結論からいえば「 新約聖書 」はキリスト教の聖書で、「 旧約聖書 」はユダヤ教の聖書です。
宗教に疎い方にはなかなか違いがわかりにくいものですが、端的にいえばそもそもキリスト教の教典かユダヤ教の教典か、宗教そのものの違いがあるのです。
キリスト教はユダヤ教から派生した宗教
賛否両論あるかとは思いますが、言い切ってしまえば歴史的にキリスト教はユダヤ教を根源とした宗教です。
実際、キリスト教でイエス・キリストの父である神様とユダヤ教における唯一神は同一の存在です。
もともと、キリスト教が発生する前より存在していたユダヤ教の教義を記した書籍として「 聖書 」がありました。
その後、キリスト教が発生し、教典として編纂された「 聖書 」の中でユダヤ教の聖書や教えは「 旧い契約 」と称されました。
これを元に、2世紀ころからキリスト教の信者らの中でユダヤ教の聖典は古い契約の聖書として「 旧約聖書 」と呼ばれるようになります。
対してキリスト教の聖典は新しい契約の聖書として「 新約聖書 」と区別されました。
ユダヤ教にとっては旧約も新約もない
ただし、ユダヤ教はキリスト教を全面的に認めているわけではありません。そもそも相容れるはずがありません。
キリスト教もユダヤ教と同じ唯一神の存在を信仰しながらも、イエス・キリストを神の子であるとして讃えてもいます。
しかしユダヤ教にとって信仰の対象はあくまでも唯一神たる神様のみ。
特にキリスト教の初期のころ、ユダヤ教はキリスト教をユダヤ教のひとつの宗派、「 ユダヤ教ナザレ派 」として扱いました。
イエス・キリストもあくまでもラビ(ユダヤ教の宗教的指導者)の一人として扱っています。
自分が神の子と主張したり奇跡起こしまくったり人類の罪をすべて背負い込んだりと教えや行動がちょっと極端だけれど、あくまでもユダヤ教の一員って扱いです。
「 旧約聖書 」という聖書の呼び方もユダヤ教は認めておらず、ユダヤ教にとっての聖書は聖書というスタンスです。新約聖書はユダヤ教にとっては聖書ではありません。
また、「 旧約聖書 」「 新約聖書 」はあくまでもキリスト教からの見方であるため、最近は「 旧約聖書 」ではなく「 ユダヤ教聖書 」「 ヘブライ語聖典 」と呼ぶ向きもあります。
まとめ:旧約聖書と新約聖書の違い
- 旧約聖書はユダヤ教のための聖書。
- 新約聖書はキリスト教のための聖書。
さらにいえば、イスラム教における神様(アッラー)もユダヤ教やキリスト教における唯一神と同じ存在。ご存知、イスラムの教典はコーランです。
同じ神様の崇める宗教の教典である旧約聖書、新約聖書、コーランはある意味すべて親戚といえるでしょう。
そんな親戚同士なのに教義が違うもんだから、一柱の神様の御言葉を取り合いになって数々の戦争の原因にもなりました。
この辺りの歴史や旧約聖書と新約聖書、コーランの成り立ちと違いなどについては阿刀田高氏さんが執筆された書籍「 旧約聖書を知っていますか 」「 新約聖書を知っていますか 」「 コーランを知っていますか 」でわかりやすく書かれています。
予備知識のない人でもわかりやすいくサクッと、しかしながら非常に詳しく書かれているので、ご興味がある方はぜひ。
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